6才のボクが、大人になるまで。:映画レビュー

BOYHOOD

邦題:6才のボクが、大人になるまで。
Theater: DVD
★★★★(★5個が最高)

リアルなアメリカの家族像に「あるある」連発!

またも、レッドボックスで借りてきました。昨年7月に公開された実験的なアメリカ映画で、日本でもかなり話題になった作品だと思います。

なぜ実験的かと言いますと、監督&脚本のリチャード・リンクレイターが、ずーっと毎夏、同じ役者たちを12年間撮り続けてその変化をじっくりとまとめあげた作品だからです。12年間も、皆無事で、誰も欠けずによく撮れたものだと思います。

主演はメイソン君。邦題の通り、6才の時から始まり、最後は18才で家を出るまでを演じます。ドキュメンタリーではないんだけど、限りなくドキュメンタリーに近い映画ですね。だって、12年の間に、皆歳をとり、その変化を見続けるだけでも、すごくリアリスティックだから。

メイソン君の母親を演じるのはパトリシア・アークエット。離婚して2人の子供を育てるシングルマザーなんですが、大学に戻って学校の先生を目指すことに。その辺がすごくリアリスティック。

アメリカには多いんですよ、ある程度の年齢になってから大学に入って、人生を立て直そうとする、または良いものにしようと頑張る人々。私もそうなので(32才でハワイ大学に入り直しました。離婚はしてないし子供もいないけどね)、よくわかる。

この母、最初は疲れた金髪ギャルタイプなんですよ。ただ、大学に行きだしてから、どんどん左翼がかってくるの。その辺もよくわかるw。

知識を得て、どんどん周りの環境も変わってくるんだけど、でも子供たちとのバランスも大切で。髪型も変わるし、痩せたり太ったり、結婚したり別れたり。「ああ、いるな〜」こんな感じのアメリカ女性。困った部分もあるけど、愛すべき存在です。

逆に父親役のイーサン・ホークは、離婚後も自由な生活を満喫していて、途中まではすごく若々しいんだけど、結婚を機会に保守反動で、すっかり雰囲気が変わってしまう。

パトリシア・アークエットとはちょっと違って、教会などに熱心でカントリー・ミュージックが好きそうな、若いけどしっかりした女性と結婚して。最後の方はいいお父さんになります。

この辺もすごくリアリスティック。アメリカ人男性の一典型を表しているんじゃないかな。オシャレじゃないし、知的でもないけど、地に足がついた大草原の小さな家のお父さんみたいなタイプ。で、昔はちょいワルだった、風な。

子供達もどんどん大きくなって、最初はとても可愛いのに、最後なんて髭面。お姉ちゃんは逆に子供の頃はたくましい感じなんだけど、美少女に成長。

それぞれ初恋があったり、親との葛藤があったり。父と母の間を行ったり来たりしながら、少しずつ自分の居場所を探していく過程が丹念に描かれています。

見所としては、所々にでてくるガジェットが、どんどん進化している点。携帯電話やゲーム機などね。父親が乗る車も最後はファミリータイプのバンになっていて、その辺が彼の変化をさりげなく物語っていたり。

特に大きな盛り上がりがあるわけでもないし、アメリカの、本当にどこにでもある家族をそのまま切り取ったような、ささやかな人間ドラマなんだけど、見終わった後、なんとも言えない達成感のある映画でした。

12年間って、本当に長い。撮り切ったリンクレイター監督、すごいです。