クリスマス・キャロル:映画レビュー

A Christmas Carol (クリスマス・キャロル)

邦題:バージョンによって各種あり
Theater: 手持ちのDVDで
★★★★★(★5個が最高)

毎年のことなのに、タイニー・ティムのシーンで大号泣

今回は現在上映中の映画ではなく、この時期のお約束的名作「クリスマス・キャロル」について、ちょっと熱く語ってしまおうと思っているのです。

日本で年末に観る映画といえば「忠臣蔵」ですよね。何度繰り返し観ても素晴らしい高揚感が得られ、「よし、来年も頑張るぞ」なんて気分を新たにしちゃったりするわけですが…

一方ここハワイ(アメリカ)で、毎年この時期に観られる映画といえば、何と言っても「クリスマス・キャロル」でしょう。イギリスの文豪、チャールズ・ディケンズが1843年に書いた物語をもとに、ありとあらゆるバージョンの映画が作られています。観るたびにクリスマスの精神を実感し、涙し、最後には驚くほどのカタルシスが得られる名作中の名作なのです。

子どもの頃、岩波少年文庫で読んだ記憶がありますが、その時はなんだかピンと来なかったんですよね。でも大人になって読み返してみたり、映画を見ると、これがもう心に染み入るんですよ。知らず知らずにいろんな場面に自分や周りの人々を投影して、激しく心が揺れ動くわけです。

やや教訓めいたシンプルな人間ドラマなのですが、ストレートに本質をグイグイと突かれて、毎回違った発見があります。そこにはひねりの効いたレトリックや知的なサーカズムなどはあまりなく、むしろ泥臭ささえ感じさせるお話なのですが、21世紀の現在でも時代を超越した魅力に溢れています。

ストーリー自体はシンプルです。主人公は守銭奴で冷酷、無慈悲な商人、スクルージ。クリスマスを祝うでもなく、薄給で事務員のクラチットをこき使い、人々に蛇蝎のごとく嫌われています。

ある年のクリスマスイブ、スクルージは7年前に亡くなった、共同経営者のマーレイの亡霊の訪問を受けます。マーレイは生前の強欲な生き方から現在は鎖につながれており、スクルージが同じ轍を踏まないために、3人の精霊が現れることを告げます。

スクルージはマーレイの予言通り、自らの過去、現在、未来を象徴する3人の精霊の訪問を受けます。

過去の精霊に連れられ、まだ素朴な心を失っていなかった切ない青年時代を振り返り、現在の精霊は、貧しいながらも愛にあふれたクラチットの家族の姿や、甥のフレッドが仲間たちと楽しくクリスマスを過ごしている姿を見せ、そして未来の精霊は…

皆までは語りませんが、スクルージは自らを省みて、新しい人格に生まれ変わり、最後は大のハッピーエンドで終わります。

毎回、なんどみても泣かされるのが、クラチット家のくだり。クラチット家は慎ましくも優しさにあふれた家族なのですが、一番下の子どもの「タイニー・ティム」は足が悪く、体が弱く、長くは生きられないのです。でも、清らかな美しい心の持ち主で、常に感謝の心を抱き、まさにクリスマスの精神を具現化した存在なんですよ。

このページの上に、ミッキーマウス版のクリスマス・キャロルのタイニー・ティムの名場面を貼ってみました。ぜひ、見てみてくださいね。クリスマスの精神って、うまく説明するのは難しいけれど、このタイニー・ティムのように、物事に感謝して我欲に溺れず、分かち合いの精神を持ち続けることなんでしょうね。

時々自分の心が疲れ意地悪になった時、人が羨ましくなったりネガティブな気分に苛まれた時は、タイニー・ティムの動画を見て、反省しています。ミッキーマウス版も素晴らしいですが、マペット版もなかなかいいですよ! マペットではクラチットをカーミットが演じていて、これまた良い味を出しています。オススメ!