ラブアクチュアリー:映画レビュー

Love Actually (ラブアクチュアリー)

邦題:ラブアクチュアリー
Theater: 手持ちのDVDテレビの再放送など
★★★★★(★5個が最高)

クリスマスに必ず見る映画、サラと弟のシーンで毎年大号泣

先日、この時期のお約束的名作「クリスマス・キャロル」について熱く語らせていただいたばかりですが、本日はもう一本、クリスマスの珠玉の名作について語らせていただきたいと思います。

2003年作のイギリス映画、「ラブアクチュアリー」です。リリースされてからもう10年以上になるのですね。今までの間に一体何回観たことか。

まず一言でいうと、ラブアクチュアリーは「非常にバランスが良く、抑制の効いた」映画だと思います。年のせいでしょうかね、最近とみに、バランスに敏感になりました。社会にしろ、暮らしにしろ、心のあり方にしろ、ね。

ライトニングハワイ、ハワイ暮らしと大人のてんかん闘病記

ラブアクチュアリーは、グランドホテル方式(群像劇)で描かれた19人の物語。19人ものキャラクターが織りなす物語だから、バランスがとても重要なんですね。

テーマは直球中の直球、「愛」です。だからこそ、いかに抑制が効かせられるかが肝なわけで。リチャード・カーティス監督は、その辺を非常に上品で絶妙にまとめ上げ、どこを取っても過不足のない、とても気持ちの良い作品に仕上げています。

クリスマス前から後にかけての数週間を舞台に、19人の男女が織りなす9つの愛のお話…というと陳腐ですが、その中には人間愛あり、家族愛あり、男女の愛あり、かならずどこかに共感出来る部分があるのではないでしょうか?

ストーリーを全部紹介していくと膨大な文字数になりそうなので、今回はこの映画の中で私が一番共感する、サラとカールの話のみを紹介しますね。

ライトニングハワイ、ハワイ暮らしと大人のてんかん闘病記

2003年に初めて観てから、今までに泣かなかったことがないのが、彼らの物語です。サラは一見地味でしっかりしたアラフォー(かな?)のOLなんですが、2年以上も同僚のデザイナー、ラテン系のカールに片思いをしているんです。

欧米人にとって、2年以上もの片思いっていうと、不自然なぐらいシャイなことだと思うのですが、サラには事情があるんですね。すでに親を亡くしているサラには心を病んで施設に入っている弟がいて、しょっちゅう電話をかけてくるんです。

弟からの電話には、いつも明るい声で応対するサラ。弟が途轍もない支離滅裂なことをいっても、きちんと聞いてあげます。サラにとって弟はどうしようもない泣所でありながらも、最愛のものなんですね。血の繋がった姉弟ですから。

弟のことが常に特別の位置にあるから、大好きなカールと上手く行きかけても、結局弟の電話に出てしまい、弟を優先してしまうわけです。カールも真面目な人物で、誠実だからこそ、サラと弟の絆を尊重してしまいます。

結局サラはクリスマスの日、弟の施設で一緒にサンタ帽をかぶって、弟と微笑みながらクリスマスを祝います。サラの性格上、カールと自分だけ楽しいクリスマスを過ごすことができないのはわかってはいるんですけどね。泣けます。

私にも病気の妹がいるので、サラの気持ちが痛いほどわかります。カールが家まで送ってくれた時、慌ててクマのぬいぐるみをベッドの下に隠したのも、泣きのポイントでした。ぬいぐるみに愛情を注ぐことで、いろいろな気持ちのバランスを保っていたのでしょう。

映画の中では、サラとカールのその後については何も触れられていませんが、カールの最後の表情から、もしかして将来、カールが弟ごと全てを受け入れ、新しい物語がスタートするのもありだな、と。

呑気なハッピーエンドの恋もあれば、血の繋がらない親子の情愛、子どもの初恋、社会階層を超えた恋、国際恋愛など、ありとあらゆる愛の物語がちりばめられたこの映画、上記のサラとカールの物語のように、ほろ苦いものもさりげなく混ざり、これ以上ないほどの水も漏らさぬバランスを保っています。

また、全てを皆まで述べず、視聴者の判断に委ねる部分も多くあり、その抑制の利かせ方に、監督のすぐれたバランス感覚を感じます。映像も美しくて音楽も最高で、俳優陣の演技も素晴らしく、まさにクリスマスの贈り物のような映画だと思います。おすすめ!