師匠、総領事表彰を受ける!

ライトニングハワイ、ハワイ暮らしと大人のてんかん闘病記

「書く力」を徹底的に叩き込んでくれた人生の師

翻訳もライティングも本当に楽しいし大好きです。でも、未だに修行の毎日です。「いかに読みやすい文章を書くか」ということが、簡単そうで一番難しいのだと思っています。

英語と日本語では、驚くほどに表現方法が違うので、英語を日本語にした場合は不自然な日本語に、逆に日本語を英語にした場合は不自然な英語になりがちかと思います。

洋画の吹き替えなどで、「おお、ナンシー、なんてこったい!」なんてベタなセリフ回しをよく耳にしますが、日常生活でこんな会話を繰り広げている一般人がいったいどれだけいるでしょうか? 逆もまた然り。日本語を英語に直したセリフなどは、醸し出す空気感がこれまた違い、「ちょっと略しすぎ、そこ大切なところだから!」などと、モヤモヤいたします。

その辺をいかに自然に、読者や視聴者の方にストレスを与えず楽しんでいただけるかは、すべて「書く力」にかかっているのでしょう。

まだまだ修行中ではありますが、私に書く力の大切さを教えてくれたのは、ハワイの小さな新聞社のN社長でした。沖縄から単身ハワイに移民し、新聞社を立ち上げ今年で38年目。N社長を見ていると「硬骨漢」という言葉が浮かびます。

ハワイに渡り数年、大学院に通っていた時に、縁があってN社長の元でお手伝いを始めました。「N社長はとっても怖いでしょう、大丈夫?」などと、よく聞かれたものの、私はほとんど怒られたことがなく、いつも楽しく仕事をさせていただきました。仕事を始めてすぐ、N社長の新聞に対する姿勢を知り、彼を師匠と勝手に決め、身近に学べるのが楽しくてたまりませんでした。一度チョコレートが好きだと言ったところ、その後は会うたびにニコニコしながらチョコレートバーを渡してくれるお茶目で優しい師匠なのです。

背が小さくて白髪で大声で、時には失礼なことやちょっぴりセクハラまがいなことをやらかし、ハラハラさせらることは多々ありますが、彼の新聞に対するぶれない姿勢は心から尊敬しています。「公正に書く」、「ペンの力で社会に問いかける」、「ハワイに生きる日本人の歴史を記録する」をスローガンに、たまに沖縄に里帰りする以外は1日のお休みも取らず、朝早くから遅くまで新聞作りに励むN社長。

仕事が趣味だと言い切り、でもそのために失ったものも多いのだとは思いますが、今や絶滅しつつある「漢」という言葉にぴったりあてはまる人物かと思います。その潔いアンバランスさは、小手先の器用さに走りがちな私にとって、決して真似のできないものなのです。

本日、そのN社長が、在ホノルル日本国総領事より総領事表彰を受けました。他にあるハワイの日系メディア2社とともに表彰されたもので、ハワイという特殊な社会の中で、コミュニティ向けの日系メディアが担ってきた役割を認め表彰していただいたのです。そのごく小さな一角をお手伝いさせていただいているだけの私ですが、心から誇らしい気持ちになりました。

「気持ちを込めて書く」、「伝えたいことを書く」、「わかりやすく書く」…言葉にするとシンプルですが、本当に難しいです。書く力を身につけるための修行はまだまだ続きますが、一貫した姿勢を保ちながら頑張っていけたらなと思っています。たとえ古いと思われても、ね。